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今回は最速で100億円の興行収入をあげ、今まで見たことのないほどの社会現象にまでなっている劇場版アニメ映画「鬼滅の刃」を取り上げ、その人気の秘密に迫ってみたいと思います。
目次
1.「鬼滅の刃」の人気がすごい!
「鬼滅の刃」は劇場公開した10月16日から25日までの10日間で107億円の興行収入をあげ、いきなり日本映画の歴代興行収入のベスト10に名を馳せてきました。
順位 | 作品名 | 監督 | 配給会社 | 公開年度 | 興行収入 |
1 | 千と千尋の神隠し | 宮崎駿 | 東宝 | 2001年 | 308億円 |
2 | 君の名は。 | 新海誠 | 東宝 | 2016年 | 250.3億円 |
3 | ハウルの動く城 | 宮崎駿 | 東宝 | 2004年 | 196億円 |
4 | もののけ姫 | 宮崎駿 | 東宝 | 1997年 | 193億円 |
5 | 踊る大捜査線 | 本広克行 | 東宝 | 2003年 | 173.5億円 |
6 | 崖の上のポニョ | 宮崎駿 | 東宝 | 2008年 | 155億円 |
7 | 天気の子 | 新海誠 | 東宝 | 2019年 | 140.2億円 |
8 | 風立ちぬ | 宮崎駿 | 東宝 | 2013年 | 120.2億円 |
9 | 南極物語 | 蔵原惟繕 | ヘラルド東宝 | 1983年 | 110億円 |
10 | 鬼滅の刃 | 外崎春雄 | 東宝 | 2020年 | 107億円 |
出典元:Wikipedia
公開後10日間で歴代興行収入第10位とはすざましい勢いです。
ちなみに歴代1位の「千と千尋の神隠し」は100億円を達成するのに25日間かかっているので、「鬼滅の刃」がいかにすごいのかがわかります。
「千と千尋の神隠し」は2001年7月20日に公開され、2002年の6月までの約11か月間上映され、第52回ベルリン国際映画祭金熊賞やアメリカアカデミー賞長編アニメ映画賞なども受賞し国内外で高く評価された作品です。
また「君の名は。」は2016年8月から約8か月間上映されています。
「鬼滅の刃」はまだ公開して日も浅く、映画賞などとはまだ無縁です。
今の勢いも次第に落ち着いてくるでしょうが、急に落ち込むことはまずないと思います。
はたして「千と千尋の神隠し」と同じく1年近くのロングランを行うかどうかはわかりませんが、半年以内に公開終了になることはまずないでしょう。そして半年くらいで興行収入も300億円くらい達成するのではないでしょうか。
いずれにしても日本映画の興行収入記録を大きく塗り替えるのは間違いないでしょう。
2.「鬼滅の刃」の人気の秘密は?
では劇場版「鬼滅の刃」の爆発的な人気の秘密はいったいどこにあるのでしょうか?その背景を探ってみようと思います。
2-1.TVアニメの再放送
まずは挙げられるのは、劇場版公開に合わせてTVアニメの再放送を行い16日の公開時にはボルテージがすでに最高潮に達していました。
フジテレビでは2019年に放映した「鬼滅の刃」のTVアニメを10月10日、17日の土曜夜9時のゴールデンタイムに2週連続で再放送を行い、ともに15%以上の高視聴率をマークしました。結局他の日も含めて10月度に1話から26話までの全話を再放送して劇場版公開へのプロローグとしました。
深夜や早朝での放送がほとんどだったアニメがゴールデンタイムに放送され、前評判とあいまって視聴者のすそ野は10代、20代の男女だけでなく、Kidsも含めた家族層にまで広がりました。
またTV放映されたアニメの全話が22の動画配信会社で見逃し配信されました。
通常アニメの見逃し配信は8から10程度の動画配信会社で行われるのが一般的ですが、「鬼滅の刃」は国内のほぼすべての動画配信会社で扱っています。これによりTVで見逃しても多くの動画配信サービスで26話までの全話を視聴できる機会を提供し、劇場版への期待に大いに貢献したと言えます。
そして10月13日の午前0時のチケット販売開始時には、深夜にもかかわらず映画館の予約サイトにアクセスが集中してつながりにくくなるといった熱狂ぶりでした。
その背景には先着450万人に原作者・吾峠呼世晴さん描き下ろし漫画を収録した冊子「鬼滅の刃 煉獄零巻」を配布するといった入場特典がついていたのも大きな要因の一つとして挙げられます。
2-2.企業とのコラボ
またマーケティング的には、数多くの店舗と提携して大々的なキャンペーンを実施しており、それが「鬼滅の刃」の露出を増やし、原作を知らないより広い層にも興味を抱かせたと言えるでしょう。
キャンペーンはローソンなどのコンビニ、ドン・キホーテ、くら寿司などの大手外食チェーン、銀だこやお好み焼き道とん堀、さらには極楽湯に東京ヴェルディや白十字まで、挙げるときりがありません。
しかし提携にあたっては、「鬼滅の刃」がテレビ放送などですでに大々的な人気がでており、その人気にあやかり自分の店の集客につなげたい、という店舗運営側の思惑のほうがより大きかったのではないかと思います。
2-3.物語性とキャラクター設定の秀逸さ
次に挙げられるのは何と言っても物語性とキャラクター設定がうまいことです。
「鬼滅の刃」は単純な復讐劇でもないし、悪をやっつける勧善懲悪的なドラマでもありません。
私は独特の世界観とともに、生き様の影に言い知れぬ、どうしようもない悲哀があるように思います。それはたとえば鬼が好き好んで鬼になったのではなく、そうならざるをえない過去があった。それを主人公も戦いの中で気づき、敵(鬼)にある種の哀れみを感じざるを得なくなってしまう。
たとえばこのアニメに登場する鬼たちの殆どは、同情に値する哀しい過去を秘めており、それが戦闘シーンの回想の中で明かされていきます。
どんなに哀しい過去や事情がある鬼でも死ぬ時は絶対に炎に包まれてしまう。哀れみを感じても鬼を天国には連れていってあげられない。そんなどうしよもない世界観が私たちの共感を呼び起こすように思います。これが単純な鬼退治の物語であったら、深い共感は得られずこんな人気は絶対にでなかったでしょう。
2-4 制作スタッフによる忠実な映像化
また制作会社のufotableによる原作の世界観を微塵の妥協もなく忠実に描き出したあの映像、声優さんたちの心震わせる演技、それに大正ロマンを彷彿とするやるせない音楽が一体化して、今までにないアニメ作品になっていることです。
ufotableのスタッフは制作にあたっては徹底的に細部にこだわり、シーンによっては水面下で数か月にわたって制作が難航したこともあった、と語っています。
またコストがかかるからといって省略したり、なくしてしまうと、原作と食い違って違和感が出てしまうので、スタッフは全員死ぬ気で描いたとも言っています。
アニメの制作側で原作を勝手に解釈して尾ひれをつけたり異なった展開などを加えたりしていたら、原作を読んでいた読者さんからの圧倒的な支持は得られなかったはずです。
3.まとめ
「鬼滅の刃」の人気の背景には、原作の物語性とキャラクター設定の秀逸さや制作スタッフによる原作の忠実な映像化といったコンテンツの面と、TV放映や企業とのコラボによる露出増による認知や広い層への訴求といったマーケティング面がすべて同じ方向に向いてうまく機能している結果ではないでしょうか。
いずれにしてもこのアニメがこれだけ多くの人を魅了するのは、私たちの心の奥底に訴えてくる言い知れぬ悲哀が胸に突き刺さって、純粋に心の琴線をどうしようもないほど揺さぶってしまうからのように思います。まさにたぐいまれなる絶品と言えるでしょう。
これから先「鬼滅の刃」はどこまで突き進んでいくのか、今後の動向からも目が離せません。
最後までお読み頂きありがとうございました。